「単価を上げてほしいと言ったら、もう仕事をもらえなくなるかもしれない」
「長く続いている取引先だからこそ、お金の話を切り出しにくい」
継続案件がそろってくると、次に気になり始めるのが単価です。作業には慣れて、納品の質も上がってきた。それなのに金額は最初のまま、という人は少なくありません。
一方で、単価交渉には「断られたら気まずい」「関係が崩れたら困る」という不安がつきものです。メイカラの勉強会でも、単価の上げ方は何度も話題になってきました。そこから見えてきたのは2つの点です。交渉は切り出すタイミングで結果が変わる、という点。そして、単価を上げる道は交渉だけではない、という点でした。
この記事は、すでにクライアントワークをしている人に向けて書いています。例はライターの話が中心ですが、デザインや広告運用など、ほかの仕事でも考え方は同じです。始め方ではなく、いまの単価から「次の一手」を考えるための内容です。
記事監修
株式会社メイカヒット代表。
2020年に副業でブログを始めて2年で月収100万円達成。
Webライターとしても上場企業のLPやコピーライティングの経験もあり。
現在はSEOを中心としたマーケターとして取引企業150社以上、顧問先5社。


株式会社メイカヒット代表。
副業Webライターを1年経験後に独立。これまで上場企業を含めて幅広いジャンルのSEO記事やコラムを1,000本以上執筆した。
現在は年間150名以上に取材を実施する、日本インタビュアー協会認定インタビュアー。取材を通じて人や企業の価値・想いの言語化に貢献している。
フリーランスの単価交渉は「タイミング」と「交渉以外の道」で考える

フクロウ教授単価交渉は、言い回しよりも「いつ切り出すか」が大切です。そして、単価を上げる方法は交渉のほかにもあります。
単価交渉は、断られることもある前提で考える
単価交渉は、思っているよりも断られやすいものです。サロンの質問会で、運営メンバーが自分の経験として話していました。案件が終わってもいいつもりで強めに交渉していた時期も、断られるパターンが多かったそうです。
さらに、断られたあとも同じ案件を続けるのは、お互いに気持ちの面できつくなりがちだといいます。単価交渉は「通るかどうか」より「断られても困らない状態で切り出せるか」が大事です。
断られる前提で考えると、交渉は怖いものから「試してみるもの」に変わります。運営メンバーも、上がったらラッキーくらいの気持ちでいい、と話していました。
単価を上げる道は「交渉」だけではない
単価を上げる方法は、大きく分けて3つあります。いまの取引先と交渉する、次の見積もりで最初から高めに出す、交渉しなくても単価が上がる状態をつくる、の3つです。
| 道 | やること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ①いまの取引先と交渉する | 実績を伝えて単価の見直しを相談する | 他の案件があり、断られても困らないとき |
| ②最初の見積もりで決める | 新しい案件や乗り換え先で、最初から高めに出す | 新規の相談が来たとき・案件を入れ替えたいとき |
| ③交渉しなくても上がる状態をつくる | 成果を一緒に考え、書く以外の仕事も引き受ける | 長く付き合いたい取引先がいるとき |
おさるくん交渉しか頭になかったけど、道が3つもあるんだね。どれから考えればいいのかな…
どれか1つを選ぶというより、状況によって組み合わせるイメージです。ここからは、①から順に見ていきます。
単価交渉を切り出すタイミングと伝え方

フクロウ教授切り出しどきは、クライアントの都合よりも、自分の側の「余裕」を基準に考えると楽になります。
「この案件が終わっても大丈夫」と思えるときが切り出しどき
同じ質問会では、記事構成だけを請け負っている会員さんから相談がありました。文字単価1円で始まった継続案件が、5〜6本の納品で2円に上がったそうです。そのうえで「さらに上げられるか」という質問でした。
運営メンバーの答えは、500字ほどの構成なら1,000円が1,500円になるくらいの話だ、というものです。発注する側にとっては、そこまで大きな差ではありません。だから言ってみてもいい。ただし切り出すなら、「この案件をやめてもいい」と思えるタイミングがいいとのことでした。
たとえば、ほかの案件が取れて予定が埋まってきたときです。断られても生活が揺らがないので、落ち着いて話せます。逆に、その取引先からの収入に頼っている時期は、無理に切り出さなくてもかまいません。
そのうえで、相手の側から見て話を聞いてもらいやすいのは、次のような場面です。
- 契約の更新や、取引を始めて半年〜1年がたったとき
- 任される作業や範囲が、最初より増えたとき
- 納品したものが評価されたり、成果が出たりした直後
自分に余裕がある時期と、相手が受け止めやすい場面が重なったときが、いちばん切り出しやすいタイミングです。
伝え方は「お礼→実績→これからの単価→相手の選択肢」の順に
切り出すときは、相手を責める形にしないのが基本です。感謝から入り、積み上げてきた実績を伝え、これからの単価を相談します。
チャットやメールで伝えるなら、たとえば次のような文面です。〇〇の部分は、自分の実績や数字に置き換えてください。
〇〇様
いつも継続してご依頼いただき、ありがとうございます。これまで〇本の記事を担当させていただき、修正のご依頼も少なくなってきました。
そこでご相談なのですが、次回のご発注分から、文字単価〇円でお受けできればと考えております。
ご予算の都合もあるかと思いますので、ご検討いただけましたら幸いです。難しい場合も、遠慮なくお知らせください。今後ともよろしくお願いいたします。
最後に、相手が選べる余地を残しておくのがポイントです。マーケティングの勉強会では、「今後はこのくらいの単価にしていく予定です」と前もって伝えておく方法も紹介されていました。前もって伝えておけば、相手も予算を考える時間を持てます。
前もって伝えるときは、次のような一言で十分です。
来月から、新しくご依頼いただく分は文字単価〇円でお受けする予定です。今月いただいている分は、これまでの単価で対応いたします。
フクロウ教授いきなり「上げてください」じゃなくて、先に予告しておくのはやさしいね。
Webライターの単価交渉を、発注するクライアントの目線から詳しく知りたい場合は、こちらで紹介しています。
関連記事:Webライターの単価交渉のコツと今すぐにできる対策をクライアント目線で完全解説
断られても、関係を責めない
交渉が通らなかったときは、相手の事情を受け止めて、お礼を伝えれば十分です。予算の事情は外からは見えにくく、断られたからといって評価が低いとは限りません。
そのうえで、自分の時間をどこに使うかを考え直すきっかけにします。最初に取れた居心地のいい案件にとどまり、単価が上がらないまま疲れてしまう人は多い、と運営メンバーも話していました。断られた経験は、次の案件を探し始める合図として使えます。
フリーランスの単価の決め方は「最初の見積もり」がいちばん楽

フクロウ教授値上げの交渉より、最初の見積もりで決めるほうが、気持ちの負担はずっと軽くなります。
あとからの値上げは「今までやってくれたのに」と思われやすい
ライター向けの高単価勉強会では、ライター歴の長い会員さんが見積もりの出し方を話していました。あとから単価を上げようとすると、「今までこの金額でやってくれたのに」と思われることがあるそうです。
そうした気持ちを持たれると、継続そのものが難しくなる場合もあります。値上げに苦労するより、最初から高めの金額を出しておくほうが楽です。予算が合わないと言われたら、そこから少し下げればいいので、話もこじれにくくなります。
予算のある相手には、最初から高めに出す
同じ会員さんは、相手によって見積もりの出し方を変えていました。予算に余裕がある企業には、最初から高めに出します。一方で、価格表が決まっている大手などは交渉しにくい相手です。
価格表のある会社では、ライターへの支払いが顧客に出す価格を上回ると赤字です。そのため、高めの見積もりは通りにくくなります。相手のお金の事情を想像すると、どこで強気に出られるかが見えてきます。「この人にお願いしたい」と思ってもらえれば、少し高い金額でも通ることが多い、という話もありました。
おさるくん相手の予算を想像するのか。自分の作業時間ばかり考えてたよ。
Webライターの単価相場は「誰がお金を出すか」で変わる
Webライターの単価相場は、記事を誰がどんな目的で作るかで大きく変わります。取材ライターとして活動する会員さんは、案件を「メディア案件」と「企業案件」に分けて説明していました。
| 案件の種類 | 単価の目安(ある会員さんの実感) | 特徴 |
|---|---|---|
| Webメディアの取材記事 | 1本2〜3万円ほど | 長く続きやすく、単価は普通くらい |
| 企業案件の取材記事(発注元から見た金額) | 最低5万円から、平均10万円前後 | 予算があるぶん高め。期間が決まっていることが多い |
| 企業案件(制作会社を通した場合) | 15万円の案件でもライターの手元は4〜5万円ほど | 企業から個人への直接発注は少なく、制作会社経由が中心 |
数字は一人のライターの経験にもとづく目安で、案件の条件によって変わります。それでも、同じ「取材記事」でもお金の出どころで単価の水準が大きく違う点は、覚えておきたいところです。
その会員さんは、まずメディアや制作会社を3〜4社持って仕事を安定させるのが先だ、とも話していました。単価が頭打ちになってから、企業との直接の取引を考える順番です。
Webライターの報酬の形や、文字単価の一般的な相場は、こちらで紹介しています。
関連記事:稼ぎたいWebライター必見!単価相場と単価アップのスキルを紹介!
交渉しなくても単価が上がる人がしていること

フクロウ教授3つ目の道は、相手のほうから「この人に任せたい」と思ってもらうことです。
「言われたものを作る人」から「成果を一緒に考える人」へ
マーケティングの勉強会で、元ライターでディレクターも経験した会員さんが話していた体験があります。その会員さんがライターに発注する側だったとき、納期やルールを守れない人から順に契約を終えていきました。
最後まで残ったのは、価値を出し続けたライター1人だけです。その人には報酬を増やして依頼を続けた、と話していました。成果を一緒に考える人は、自分から交渉しなくても報酬が上がりやすくなります。
言われた範囲だけを作る人は、代わりが見つかりやすいものです。記事の意図やペルソナをドキュメントにコメントで書き添える。参考にした情報の出どころを残しておく。小さな積み重ねで、相手の見え方は変わっていきます。
書く以外の仕事も引き受けると、単価の上がり方が変わる
単価を上げている会員さんには、仕事の範囲そのものを広げている人がいます。先ほどの会員さんは、デザインを作れると伝えてデザインの案件も受け、単価アップにつなげていました。入稿や構成、リライトも「できます」と伝えて引き受けていたそうです。
取材ライターとして独立した会員さんの例もあります。最初は1文字1円台の案件だったクライアントと信頼を重ね、のちに月30万円規模のディレクション案件を任されました。任される範囲が広がると、文字単価を少しずつ上げるのとは違う形で収入が動きます。
おさるくん1円台から月30万円のディレクションに!?書くだけじゃない仕事って大事なんだね。
※会員の体験をもとに紹介しています。成果には個人差があり、同じ結果を約束するものではありません。
請求書に添える「来月は空いています」の一言
同じ会員さんが続けている習慣も、すぐにまねできるものです。請求書をメールで送るとき、「来月はまだ空いているので、よかったらお声がけください」と一言添えています。
新しくできるようになった仕事を伝えることもあるそうです。たとえば「取材もできるようになったので、よかったらお任せください」という一言です。売り込みというより近況報告に近く、相手も気軽に次の依頼を考えられます。
単価を一人で上げ続けるのは、なぜ難しいのか

フクロウ教授単価の悩みは、スキルだけの問題ではありません。一人で働いていること自体が、壁になっている場合があります。
一人だと、自分の値段の「高い・安い」が見えにくい
一人で受けて一人で納品する働き方には、スキルを磨いても越えにくい天井があります。一人で受けられる仕事の量は使える時間で決まり、単価を上げても時間は増えないからです。単価の悩みも、この天井と無関係ではありません。
一人で仕事をしていると、自分の金額が高いのか安いのか、比べる相手がいません。広告運用の仕事をしている会員さんは、勉強会で次のように話していました。良いサービスを安く出しすぎると、相手のためにも、自分のためにも、同業者のためにもならない、と。
安く受け続けるのは、謙虚さのようでいて、自分の値段を決める材料が足りていないだけかもしれません。
人を介した仕事は、自分で決めた値段が通りやすい
同じ会員さんは「仕事は人を介してしか来ない」とも話していました。紹介や顔見知りからの依頼は、金額より「この人に頼みたい」が先に立ちます。
Webライター向けの勉強会でも、オフラインでつながった相手について話が出ていました。その仕事は「自分が決めた値段で基本的に通る」そうです。「いくらですか」と聞かれる場面も多いといいます。人柄を知ったうえでの依頼は、単価交渉そのものが要らなくなりやすい。クラウドソーシングで価格を比べられる場とは、仕事の決まり方が違います。
おさるくん応募して選ばれるのを待つだけじゃなくて、知ってもらう場所が大事なんだね。
同業者は「ライバル」より「相談相手」
単価を上げようとすると、同業者を競争相手のように感じることがあるかもしれません。運営のマーケティング勉強会では、同業者はむしろ仲間だという考え方が紹介されていました。
仲間がいると、相場の感覚を確かめ合えます。手が回らない仕事を紹介し合えば、案件の入れ替えも進めやすくなります。高単価勉強会でも、ライターの少ない場所や、相場を知らない人に会いに行くと案件につながりやすい、という話が出ていました。そうした場所の情報が、仲間との会話から入ってくることもあります。
メイカラでも、会員どうしが役割を分けて、一人では受けにくい企業の仕事に取り組んでいます。
関連記事:「AI経営顧問」──メイカラサロンから生まれた、企業のAI導入に伴走するチーム
フクロウ教授一人で抱え込まず、相談できる人を持つと、単価を上げる選択肢そのものが増えていきます。
自分がどれくらい一人で抱えているかは、自分ではなかなか見えません。いまの働き方を、一度タイプで確かめてみるのも一つの方法です。
いまの働き方のタイプと、次に伸ばすヒントがわかる
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Webライターの単価の上げ方:明日からできる3つの準備

フクロウ教授交渉の前に、まず手元の数字を整理しておきましょう。
いまの案件を「時給」に直して並べる
最初にやっておきたいのが、案件ごとの時給の計算です。文字単価が高くても、リサーチに時間がかかれば時給は下がります。高単価勉強会では、苦手なジャンルは高単価でもおすすめしない、という話が出ていました。
反対に、文字単価0.7円でも、細かいルールがほとんどなく時給約1,400円になった案件もあったそうです(本人の体感)。文字単価だけでなく時給で並べると、交渉すべき案件と手放してよい案件が見えてきます。
次の見積もりで出す金額を、先に決めておく
新しい相談が来てから金額を考えると、どうしても低めに言いがちです。いまの単価より一段高い金額を、あらかじめ決めておくと迷いません。
決めた金額は、乗り換え先を探すときの基準にもなります。今より高い案件が決まったら、時給の低い案件から入れ替えていく。そうすれば、交渉で関係を気にする場面そのものが減っていきます。
自分の値段を相談できる相手を一人つくる
最後は、自分の金額を気軽に相談できる相手を持つことです。見積もりを出す前に「この金額、高すぎるかな」と聞ける人がいるだけで、強気に出る勇気が変わります。
同じ仕事をしている人でも、少し違う職種の人でもかまいません。話してみると、自分では安いと思っていなかった金額が、実は相場より低かったと気づく場合もあります。
フリーランスの単価交渉でよくある質問
- 単価交渉では、どのくらいの金額を提示すればいいですか?
-
自分の作業量ではなく、相手にとっての金額の差で考えてみてください。勉強会では、500字ほどの構成で1,000円を1,500円にする程度なら、発注側には大きな差ではないという話でした。文字単価2円の案件で、次は3円くらいを提示してみる、という例も出ています。
- 単価交渉を断られたら、その案件は続けないほうがいいですか?
-
すぐにやめる必要はありません。ただ、断られたあとも同じ気持ちで続けるのは、お互いに負担になりやすいものです。時給に直して見直し、より条件の良い案件が見つかった時点で入れ替える、という考え方もあります。
- 単価を上げたら、仕事が減りませんか?
-
一時的に減る可能性はあります。だからこそ、ほかの案件があって断られても困らない時期に切り出すのがおすすめです。取引先を3〜4社に分けておくと、一社の判断に振り回されにくくなります。
- AIの影響で単価が下がっている気がします。それでも交渉していいのでしょうか?
-
交渉すること自体は、問題ありません。ただ、速さと安さだけで比べられる仕事は、価格競争に巻き込まれやすくなっています。交渉と並行して、成果を一緒に考える、書く以外の仕事も引き受けるといった方向も探してみてください。比べられにくい仕事の割合が増えるほど、単価の話もしやすくなります。
まとめ:単価交渉は「断られても困らない状態」で切り出そう

- 単価交渉は、断られても困らない「この案件が終わっても大丈夫」なタイミングで切り出す
- 伝えるときは、お礼→実績→これからの単価→相手の選択肢の順にする
- 値上げより、新しい案件の最初の見積もりで高めに出すほうが楽
- 成果を一緒に考え、書く以外の仕事も引き受けると、交渉しなくても単価が上がりやすい
- 一人で抱えず、自分の値段を相談できる相手や、人を介して仕事が来る場を持つ
単価の悩みは、スキルの問題に見えて、働き方の問題であることも少なくありません。一人で答えを出そうとせず、まずは自分の現在地を知るところから始めてみてください。
一人で抱えすぎていないか、いまの立ち位置がわかる
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